2025.09.10 | 日本真珠会館
神戸に「日本真珠会館」という建物がつい最近まであった事をご存じでしょうか。
あまりピンとこない方も多いかもしれませんが、神戸は昔から真珠産業が盛んな街で、世界に向けて真珠を輸出してきた集積地として発展してきました。
そのシンボルとして1952年に、戦後の兵庫県下における真珠取引と業界復興の拠点として「日本真珠会館」が建設されたのです。
2008年には、その1階に「神戸パールミュージアム」がオープンし、ここでは、神戸や真珠の歴史、真珠が育つ過程や種類の違いを、実物や模型を通して楽しく学ぶことができる場所として、長らく多くの人に親しまれてきました。
近代化産業遺産として国の登録有形文化財にもなったほどの会館は、柱や壁の骨格をそのまま見せたモダンな建物で、館内の螺旋階段や家具はノスタルジックで独特の雰囲気がありました。
しかし、建築から半世紀以上を経て老朽化が進み、維持費などの問題から、取り壊しが決まってしまい、残念ながら今はもうその姿を見ることは出来なくなってしまいました。
そして、それに伴いパールミュージアムも休館。
収蔵品は神戸ファッション美術館に寄託され、現在は3階ライブラリーに「神戸パールミュージアムコーナー」が設けられています。
私自身、業界に入ってまだ15年ほどですが、入札会で何度か足を運んだ会館は、自分が真珠の世界に携わっていると感じさせてくれる、とても特別な存在でした。
仕事で訪れる場所でありながら、展示を眺めると一人の来館者として真珠を新鮮な気持ちで見られる。そんな貴重な時間を与えてくれる場所でもあったと感じています。
閉館は残念でしたが、これは新しい未来への一歩でもあります。
跡地には現在、複合施設が建設中で、2027年にはパールミュージアムも再び新しい形でオープンする計画が進んでいます。
業界のお偉いさん方が頭を悩ませ、真珠産業を後世に伝えていくための、無償の支援をしてくださっています。
私自身も「パールシティ神戸協議会」の委員として、ミュージアムの計画会議に参加させていただいており、微力ながらどんな形で神戸から真珠の魅力を発信できるのか、仲間たちと意見を交わす時間を大切に感じています。
神戸は昔から真珠とともに歩んできた街。
伝統を大切にしつつ、次の世代にその魅力を伝えていくことが、私たちの役割だと思います。
再び多くの人が集まり、真珠の美しさに触れられる日が来るのを心から楽しみにしています。
2025.04.01 | 星加清人 標本スタンドに関するご報告
いつもsCenesをご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
これまで標本スタンドなど、sCenesの製作に携わってくださった、星加清人さんが逝去されたことをご報告いたします。
69歳でした。
余りにも早すぎる死に、戸惑いを隠せません。
近年はリコーダーやフルートの製作だけでなく、木軸ペンなども作られていたり、sCenesでも次の製作に向けてやり取りをしていたさなかの、突然の悲報でした。
今やsCenesのアイコン的コレクションとなったCOLLECTIBLE PEARLは、"真珠を飾る"と言うこれまでに無いアイデアを具現化することが出来たから、多くの方々に知っていただくことができ、星加さんの力無くしては叶うものでは無かったと思います。
標本スタンドが出来上がった時の感動は今でも忘れません。
星加さんは私の父の学生時代からの友人で、私自身も幼いころより可愛がっていただきましたので、大人になり一緒に仕事が出来るとなった時は、とても嬉しく思ったことを思い出します。
優しいお人柄と美しい作品に魅了され、何度も工房に足を運び、ともに制作できた時間はかけがえのないものでした。
星加さん生前のご功績に心からの敬意と感謝をささげ、謹んで哀悼の意を表します。
誠に残念ではございますが、星加さんの作品に関しましては、3月を持ちまして販売を終了させていただく事となりました。
これまでお迎えいただいた作品は、皆様のもとでこれからも大切にしていただけましたら幸いです。
sCenes 吉田貴俊
2024.12.04 | New Jewelry TOKYO 2024
3日間に渡り開催された<New Jewelry TOKYO 2024>
無事に会期を終えることができました。
2回目の参加、またたくさんお客様と出会えたことに心より感謝しております。
と、ここまではインスタグラムでのお礼と同じとなりますので、ブログではここから少し趣向を変えて。(更新せず申し訳ございません)
昨年終了後の投稿を見ていただくと一目瞭然なのですが、昨年はディスプレイが乱雑で、周りの出展ブランドさんのあまりにも洗練された陳列に愕然としたことを思い出します。
COLLECTIBLE PEARLは好みの真珠を選べる楽しさを味わって頂きたいので、ルースが入ったケースをずらりと並べ、あーだこーだとお客様と会話しながらと言うのを念頭に置いてブースを組んだのですが、それが結果的に限られたスペース内の大半を占めてしまう羽目になり、すっきりと見せる事が出来ず、ごちゃごちゃとしてしまったのです。
我ながら情けないのなんの。
それからルースケースを並べるディスプレイが禁止だった伊勢丹でのイベントをきっかけに、いかにしてCOLLECTIBLE PEARLの楽しさを伝えようだとか、できるだけ余白を作ろうだとか、見る側の目線を意識したりしながら試行錯誤し、何度か経験を経ていくなかで、少しづつ今回のNJTのような形へと変化していきました。
こうやって今回の写真を見ると、去年よりは前進したかなと思いながらも、まだまだ納得できないなあと、相変わらずのマイナス思考。
sCenesらしいと思ってもらえうようになるまで、ディスプレイも楽しみながらより成長していきたいと思っています。
次は12/18(水)より阪急うめだ本店1階でのイベントを予定しております。
関西の皆さま、お時間ございましたら是非お立ち寄りいただければ幸いです☺︎