2024.09.03 | About Akoya Pearls Color
ファンシーカラーが美しい天然色の無調色アコヤパール
アコヤパールに施す調色加工とは
白いイメージが強いアコヤパールですが、貝から真珠を取り出したばかりの原珠(げんだま)の状態では、オフホワイト〜クリーム色にかけて黄味がかった色合いのものが大半を占め、内部に黒いシミが見られるものも多く出てきます。
そのため、アコヤパールは基本的に以下の加工を行います。
・「前処理」
パールの光沢感を引き出すための加工。
・「漂白」
パールにシミが見られる部分や、突起がある箇所から半分程度まで孔(あな)を開け、専用液を用いて珠全体の黄色味やシミを取り除く下地処理加工。
・「調色加工」
上記の過程で、アコヤパールが本来持っていた赤味まで失われてしまうため、微量の赤系染料を添加し、時間をかけて真珠層内部の色を補います。
これは染色(着色)加工ではなく、素材本来の良さを取り戻し、色調を安定させることで経年による色変化を防止するための軽度の加工=エンハンスメント処理として認められた加工方法です。
この加工を施すことによってパールの価値が損われることはありません。
調色加工の有無に関わらず、パールは価値のある宝石として評価されています。ご購入の際は、ご自身が気に入ったものをお選びください。
無調色アコヤパールとは
「無調色アコヤパール」とは、下地処理加工後に「調色加工」を施していないパールのことです。
無調色アコヤパールには以下の種類があります。
・「前処理」だけを施したもの
・「漂白」まで施したもの
※「漂白」まで施したものは、赤みがほとんど無く白っぽいのが特徴です。
「天然色」や「ナチュラルカラー」と記載しているものは「漂白」を施していないパールの事を指します。
ブルー・グレー色のアコヤパールについて
パールは、成長の過程で真珠層が積み重なっていきます。
その際、貝がつくり出す有機物の一種が真珠層の内部に入る事によって、ブルーやグレー系の色合いになります。
有機物がパール全体を覆うように入ることは少なく、「原珠」の「シミ珠」で見られるような有機物が局所的に入ることがほどんどです。
一見すると全体がブルーやグレーのように見えるも珠でも、有機物の入り方に偏りがあり色ムラや斑点が出ている物になります。
また、有機物が層に入り込むことで層の積み重なりにズレが生じるため、ブルーやグレー系のアコヤパールはバロック形を成したり、面に歪みが生じるのも特徴です。
sCenesでは「海蛍」をはじめとするブルーやグレー系のアコヤパールは、色ムラや斑点が少ない、美しく色をまとった「無調色」で「天然色」のパールを扱っています。
原珠(げんだま)のアコヤパール
2023.12.14 | New Jewelry TOKYO 2023
また随分前回の投稿から間があいてしまいました。
気づけばもうクリスマス前、師走の忘年会シーズン。
年々早くなっていくように感じます。
今年の12月はsCenesにとっては大きな変化があり、東京のSPIRALで行われた「New Jewelry TOKYO 2023」に出展する事ができました。
代官山でスペースを借りて行ったオーダー会以来の東京のイベントで、沢山のお客様にお会いする事ができ、とても嬉しかったです。
やはり直接パールを選んだいただくその瞬間は特別で、みなさんパールの好みが全然違うのでとても面白くて、パールの説明にも熱が入り。
想像していたよりも随分と忙しく、気にしていたヘルニアの事も忘れて3日間があっという間に過ぎ、楽しく良いイベントの思い出となりました。
とは言え周りの出展社さんに比べるとまだまだな点が多く、この反省を生かしてより洗練していかないとマズイなと気付かされた次第です。
ほんと日々精進ですね。
2023.7.10 | abalone pearl
このたび新しく取り扱いを始めた天然アバロニパール。
今回随分と勉強させてもらっているなあと感じている。
それはアワビの真珠についての事ももちろんなのだけど、真珠と言うものの個性や美しさに対して自分の価値観がアップデートされたような感覚に陥っているからなのかもしれません。
アワビの天然真珠は、基本的には真珠層が綺麗に出来上がっていない黒い部分などの欠点が必ずと言っていいくらい見られます。
天然故に品質が担保されていないし、巻貝であるアワビの特性のうえ、自然の中でかなり少ない確率で偶然出来上がったものなのだから、欠点があることなんてごく自然なこと。
むしろそれこそが天然真珠らしい個性として考えれば、別に悪いものでは無いと思えてきたのです。
欠点がある事をきちんと見せながらも、美しい部分を引き立てるように仕立てれば、その個性を楽しむことが出来るし、愛すべきピースとなる。
希少価値の観点からすると、天然と養殖では大きく異なるので、欠点に対する考え方はまた全然違うのだけれど、貝から出てきたその姿をどうしてやればより良く見せることが出来るのか。
天然であろうと養殖であろうと、生まれてきた個性を引き立ててジュエリーに仕立てること、それこそがパールを扱う者として大切な事なのではないかと今更ながら思った次第です。
少し良いグレードのパールに拘り過ぎていたかもしれません。
もちろんパールを専門的にしているからには譲れない部分もあるけれど、sCenesらしく、より幅広い視点でパールの魅力を届けていきたいなと思います。